今回はブロガーチックに雑記記事を書いていくぞ。しかしゲームブログなのでその趣旨には反さない遊戯王カードのデッキだ。
遊戯王?カードでは…? という声もあるだろうがこれも立派なカード”ゲーム”ですからアリということで…。
1ターンキルとは
カードゲームを嗜んだことがある人なら語らずとも容易に想像できる事だろうがあえて書く。
1ターンキルとは最初に配られたカード(遊戯王なら5枚+ドロー分1枚)をうまく回して1ターンで一方的に勝利を収める極悪な戦術。デッキの構成・プレイングは勿論その回し方については熟知していないと到底達成できない。
加えてゲーム性を破壊しかねないその戦術におけるキーパーツは扱いが難儀であったり、公式ルールで枚数の制限・使用禁止にされていることもしばしば。
更にはカードゲームということもあって必要なカードが入手困難・高額であったりと壁は幾重にも重なる。
要約すると強力すぎる力を得るには非常に面倒な障害をクリアしなければならないということだ。
遊戯王における1ターンキルとは
はよ本題に移れや!!って人はこの項を読み飛ばしてもいいぞ。
遊戯王における1ターンキル というか勝利条件は
- 相手のライフポイントを0にする
- 相手のデッキを0枚にしてドローさせる
- 特定のカード効果による勝利
- 制限時間切れの状態で相手より多くのライフポイントを持っている(大会)
が私の思いつく限りだ。
まず①は戦闘ダメージで削りきるか、ダメージカードを使って倒すもの。最たる例はオーソドックスなビートダウンや火炎地獄等を積んだバーンダメージに当たる。
②は安直に言ってしまえばデッキ破壊。ニードルワームやポッド系が該当カードだが一番有名なのは現世と冥界の逆転だろう。大体が禁止・制限に指定されているからかどの時代も組むのは難しいようだ。
③はウィジャ盤やエグゾディア等のカードテキストに「ゲームに勝利する」などと書かれたものだ。そんなパワープレーがまかり通るはずもなく……とは言えずかつてはエグゾディア1キルが流行ったらしい。
④は大会で定められた時間制限がある場合のみに成立する。便所1キルという完全アウトローのクソ戦術もあるらしい。他にも外道の限りを尽くす一癖も二癖もあるようなので、気になる人は検索してみよう。
ドグマブレードの概要
ようやく本題に入るわけで今回記事にするドグマブレードは前項の①に当たる相手ライフを0にするタイプの1キル。その中でも戦闘は行わないダメージカードによるもの。
魔法カードをガンガン使ってデッキを限界まで減らして相手ターンにマジエクを2枚or1枚+ドグマガイでとどめを刺す流れ。
その由来はドグマガイとフェニックスブレードの略。
何故最大のダメージソースにして切り札のマジカルエクスプローションの名を冠していないかは知らない。元来マジエクとついた構成もあることからおそらくその派生形でこうなったのだと思われる。
後述するが非常に高価・希少なカードが多く必要とされており私は組んだことがないのであしからず(かなり近い偽物は作ったことある)。
そして何よりデッキをうまく回す論理的思考力とデッキ・墓地・フィールド・手札・除外の全てを把握していくプレイングが非常に難しい。
その難易度の高さと無駄のない40枚構成から世界一美しい1キルデッキとも言われている。
ドグマブレードのデッキレシピ
何故だがわからないが公式サイトにデッキレシピが公開されていたのでキャプチャを拝借。
遊戯王をかじったことある人ならわかるが随所にえげつないカードが採用されている。ではキーパーツになるカードに焦点を当ててみよう。
マジカル・エクスプロージョン
自分の手札が0枚の時に発動する事ができる。自分の墓地に存在する魔法カードの枚数×200ポイントダメージを相手ライフに与える。
当デッキのフィニッシャー。枚数分に200かけたバーンダメージを与える効果で理論上29枚の魔法を採用しているので5800ダメージ与えられる。勿論2枚積んでいるので墓地に20枚の魔法があれば2×20×200で8000となり勝利となる。
出た当初から話題にはなっていたがこのドグマブレードデッキで暴れすぎたのか制限に指定されることなく一発で禁止指定された。一時期解除されたがすぐ禁止入りし、現在のリミットレギュレーションにおいても未だ禁止にされている。カードプールが増加し続けることを鑑みるとそう簡単に禁止解除はないだろう。
単体では罠でスピード感に欠けるし200って大したことないように思えるがごく一部の鬼才によって凶暴なパーツとして使われたのが面白い。
D-HERO ドグマガイ
このカードは通常召喚できない。「D-HERO」モンスターを含む自分フィールドのモンスター3体をリリースした場合のみ特殊召喚できる。①:この方法でこのカードが特殊召喚に成功した場合、次の相手スタンバイフェイズに発動する。相手のLPを半分にする。
もうひとつのキーカード。直接的なフィニッシャーとはならないが、その効果で相手のライフを半分の4000にしてしまえば勝ち筋がグッと増える。
「マジエクを1枚しかセットできなかった」「魔法を十分な枚数墓地に用意できなかった」とよくある光景に対して強力な援護ができる。
リリース条件にはドローソースでもあるディスクガイを含め、他2体は何でもいい訳だから案外簡単に出せる。
ワンキルデッキにおける3体は重めの条件であるが、自身もデスティニードローやトレードインのパーツとしてドロー加速出来るので柔軟性もある。というかそういう構成を見つけた人が天才と言わざる負えない。
モンスターゲート
自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキの上からカードをめくり、そのモンスターを特殊召喚する。残りのめくったカードは全て墓地へ送る。
墓地肥やし兼モンスターを墓地に送って様々なコンボを生み出すエンジン。クライスや混沌の黒魔術師が出せればそれだけで更なる展開が出来る。
しかしその効果の都合上マジエク・ドグマガイを問答無用で墓地に送るので回収の必要性が出ると少々面倒。逆にそれらが手札にあればガンガン使っていくべきだろう。
後述する名推理と合わせて制限カード行きになった被害者。余談だが私の地元の中古玩具屋では一時期高価で取引されていた。
名推理
相手は1~12までの任意のレベルを宣言する。通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキの上からカードをめくり、そのモンスターのレベルが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地へ送る。違った場合、そのモンスターを特殊召喚し、残りのめくったカードは全て墓地へ送る。
前述のモンスターゲートと基本的に同じ。コストが不要で発動できる点と効果で特殊召喚はしづらい点。ただ墓地肥やしをしたいだけならこちらの方が
実はドグマブレード以外に普通に採用しているデュエリストも一定数いた。ウリアを使った永続トラップをガンガン落とすデッキとか見てて結構好きだっただけに残念。
アームズ・ホール
このカードを発動するターン、自分は通常召喚できない。①:デッキの一番上のカードを墓地へ送って発動できる。自分のデッキ・墓地から装備魔法カード1枚を選んで手札に加える。
墓地肥やし兼装備補充係。装備はDDRと早すぎた埋葬といった蘇生カードか、コスト且除外→特殊召喚するコンボなど多様性が光るフェニックスブレードを持ってこられる一枚。
出来ることが多い故に1キルの成功率を高めるにはこいつの扱いで大きく左右されるだろう。
そんなことよりなによりこのデッキ構成でこいつが一番の問題児だと私は思っている。アムホを3枚積みが前提のレシピだが…
入手難易度が高すぎる。
というのもアムホはデュエルディスクという高価な玩具のおまけカードだったので正規で手に入れるには6000円×3で18000円必要だった。
子供の遊びにしてはあまりにも高価だ。しかし地方都市部では当時すでに中古カードショップが存在していて救済される……と思ったが既に1枚5000円でカードが販売されていたことをよく覚えている。そもそも流通量が少ないし、田舎のキッズには到底手に入らない代物だ。
取り分けドグマブレードの難しさのひとつにこの、アームズ・ホールの入手が大きく関わっていることを皆様にお伝えしたい。
サイバー・ヴァリー
以下の効果から1つを選択して発動できる。●このカードが相手モンスターの攻撃対象に選択された時、このカードを除外して発動できる。デッキからカードを1枚ドローし、バトルフェイズを終了する。●自分のメインフェイズ時に発動できる。このカードと自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して除外し、その後デッキからカードを2枚ドローする。●自分のメインフェイズ時に、自分の墓地のカード1枚を選択して発動できる。このカードと手札1枚を除外し、その後選択したカードをデッキの一番上に戻す。
除外・ドロー役割をするモンスター。墓地に落ちてしまったマジエクをサルベージする役割を想像していたがその実は違った。
サイバー・ヴァリー2体+他モンスターと魔力倹約術、次元融合が揃うと……
無限ドローできる。
強力すぎるそのドローエンジンとしての役割あってか、このカードも禁止カードになった。(現在は無制限)
入手難易度は体感そんなに高くなかった。コンボに気付かなければさして人気にはならないモンスターであり、通常のパックから出てくる物なので流通量自体もそこそこあった気がする。
その他のカード
全部紹介したいが流石に量も多いのである程度まとめて紹介する。
ドローソース
デスティニーはディスクを、トレード・インは混黒を、そして両方のコストとできるドグマでドローを加速させていく役割。クライスは特殊召喚の効果でガンガンドローできる。
ディスクガイ自体も墓地から蘇生したら2枚引けるので非常に優秀で当時人気が高かった。
モンスター蘇生
墓地・除外ゾーンから気軽に蘇生できるカードでこのデッキ以外の採用率も高い強力なカード。何かと制限・禁止に絡んでいることがその証左であるといえよう。
早埋とDDRはアームズ・ホールでサーチ可能かつ、クライスの効果で気軽にドローコンボに出来る優秀さ。次元融合はコストこそ重いもののフェニブレ等で除外→大量展開してモンスターゲートやドグマガイのコストに出来る。勿論無限ドローのパーツでもある。
魔法再利用系
墓地の魔法を再利用できるこの二つもあらゆるデッキとの親和性がある。ということで流通してるが買うと意外と高かったり、トレードしてくれない等割とあった。
現在はあらゆるパックで再集録されているので100円で手に入ることもザラ。しかし高レアリティバージョンは今でも人気である。
混沌の黒魔術師は除外からの復活でも効果が使えるので非常に強力だからか公式で効果修正…つまりエラッタされて帰ってきた残念な子。
ちなみにアームズ・ホールもこの分類となる。
ドグマブレードがよくわかるコンテンツ
実際の回し方を書こうと思ったが自分自身把握しきれていないので、ここは便利なコンテンツで触れてもらおう。
1ターンキル動画
https://www.nicovideo.jp/watch/sm25633068
上記URL動画の10:30辺りから登場。解説してくれ、実際の動きもよくわかる素晴らしい動画。因みにドグマブレード回したことがない人はないやってるか意味不明だが、コメントを読んでいるだけで如何に恐ろしく美しいデッキだったかがわかる。
実際にwebブラウザで遊べるシュミレーター
https://tsd0313.github.io/ygo-DogmaBlade/dist/
ドグマブレードシュミレーターと呼ばれるWebアプリ。このブログを書くきっかけになる熱を与えてくれた素晴らしいもの。マニアックなソリティアだってことがよくわかる。
成功したらtweet出来るので友人に自慢してみよう。あるいは私に自慢しても良いぞ。褒めてあげよう。
総括
上記の各項を見てわかる通り環境に与えたインパクトが凄まじいデッキレシピだ。勝率は使用者によって大きくばらつくが、達人が回せば成功率は7割超というのだから強いと言われたのも頷ける。
しかし、構築には当時5万円近くかかったとされ尚且つ流通量の少ない限定・高レアリティのカードを数多く搭載する本デッキは子供向け玩具としては論外だ。それでも構築力・資金力・論理的思考力が試されるドグマブレードは1キルのデッキでは一番好きだ。
カードゲームの最も濃い要素を一度書いてみようと思っていたのでドグマブレードの存在はやはり素晴らしい。改めて書き起こすと、世界一美しいと言われた1キルデッキというのはあながち間違っていないように思えた。
現在の遊戯王は全然わからないのでこれ以上の深掘りは出来ないが、経験者は是非、その芸術的デッキに一度触れてみて欲しい。