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悲運の衰退を歩んだGunzを振り返る

本記事では我らが愛して渇望やまないGunzを振り返り、恋焦がれるだけの記事である。

Gunzの歴史

  • 2004年2月  GunzOnline韓国オープンベータテスト開始
  • 2005年9月  GunzOnline日本オープンベータテスト開始
  • 2005年10月 Gunz The Duel正式サービス開始(課金アイテム実装)
  • 2008年10月 GUNZWEIに名称変更(運営がゲームオンに変更)
  • 2010年10月 GUNZWEIサービス終了
  • 2014年5月~ Gunz2サービス開始

今から約20年前に息吹が芽生えた同ゲームは韓国より日本へと流れ、2000年中盤では他に類を見ないゲームスピードとしてちょっとしたヒット作に。

そんなゲーム知らないという人だらけだろう。それもそのはず、当時は家庭にインターネット回線を引いてオンラインゲームを遊ぶ文化がまるで日本になかったのだからしょうがない。

光回線を引いて、それなりのスペックが無ければ動作しない当ゲームは敷居が高いのなんのと。スペックといってもグラボとかの次元ではなく、CPUがCore2Duoかどうかなので今見るとちんけな要求スペックであった。

それでもジワジワと伸びはじめ私が始めた2006年頃?は同接アクティブ5000人とかいたし、対抗馬もREDSTONEやミックスマスターくらいしかいなかった。

と話は逸れたが、革新的なスタイルとオンラインシューティングとして日本に巻き起こした旋風の影響はでかい。(詳細は後述)

MAIET開発のネットマーブルジャパン運営で始まり、2008年にゲームオンへ移管してGUNZWEIへと名称を変更したが、ゲームの大筋は変わらず5年近く栄華を極めた作品でもある。Gunz2なんてなかったんや…

Gunzのゲーム性

プレイヤーを後ろから捉えて射撃するTPSに分類する。剣と数多の銃を組み合わせたゴリゴリのスポーツ系挙動をする本作の奥深さは類を見ないものだ。

ジャンプやダッシュ、壁のぼりと壁蹴りを織り交ぜ縦横無尽に動き回る本作のゲームスピードは今見ても異常だ。

ゲームモード

ゲームモードはひたすらキルしていくデスマッチ・チームデスマッチや剣のみで戦うグラディエーター、協力してNPCボスを狩るクエストモードもある。他にはチームのキャプテンを倒すと勝ちな暗殺戦に、純然たるタイマン勝負のデュエルモードもある。

主な人気はチームデスマッチでリスポーンから前線に移動し、味方と協力して敵陣営を全滅させるものだが、そこにアレンジを加えてMAPの一定個所で留まる・そこを攻めるローカルルールの攻防戦も人気を博していた。

デュエルモードでは腕に自信のあるものが華麗なテクニックや強靭なAIMを競うガチなものだった。

クラン戦の概念もあり、横のつながりもオンラインゲームらしく実装されていた。上手いプレイヤーはアクティブなチームからスカウトされたり、新武器・流行のテクニックを試し競う合う等今では当たり前の光景もこの頃より始まっていた。

各種テクニック

本ゲームの最も特徴たるものはバグにも近い”KS”と呼ばれるキャンセル技の数々だ。高速移動しながらキャンセル技を連発することはとてつもない操作精度を要求される。せっかくなのでそれらを含めて列挙していく。

バタフライステップ(BS)

剣を一振りした後にガードを入力すると攻撃後の隙を消すことが出来る。
それをジャンプ→ダッシュ→剣撃→ガードと高速で入力することでバタフライステップと呼ばれるコンボとして繰り出すことが出来る。(手元動画を上げている人いた)

ダッシュを一部省きつつジャンプしてから着地するまで2回BSすることをWBS、3回はTBSと呼ぶ。TBSになると格ゲークラスの入力速度と精度が要求される。

BSは必須級テクニックなので相手も仕掛けてくる。ガード時に敵の剣撃を受けると”マッシブ”と呼ばれる溜め剣撃を放つことが出来るので、如何にして相手のガード有効時間外を突くかの読み合いが発生する。

グラディエーターでは剣だけなのでどれだけうまいBSを押し付けるかのシンプルな戦いもあって白熱する。

スラッシュショット(SS)

BSの剣撃後ガードの代わりに武器チェンジ+銃撃をするものだ。

具体的な操作は、ジャンプ→ダッシュ→剣撃→武器チェンジ→銃撃と入力する。こちらもBSと同様に必須テクニックである。

一気に敵に詰めてスラッシュ+ショットガンで仕留めにいったり、左右にダッシュして弾避けしながら空中でリボルバーをぶっ放してくる。猛者は空中で二度ダッシュして左右にグネグネ動きながらSSしてくるので、こちら弾を当てることが非常に困難になる。

SS終了時に後述するテクニックのスワップショットを挟んでピョンピョンはねながら高速でショットガンを持ち替えて蜂の巣にしてくるものもいて極め甲斐は非常に高い。

スワップショット

銃撃後のディレイを短縮して高速で弾を連射するテクニック。主にディレイの長いショットガンで扱われる。

銃撃→リロードアクション(押すだけ)→武器チェンジ→銃撃をする。ショットガンを高速でバンバン連射してくる驚異的な攻撃性能を発揮できる。特に高威力で弾数が少ないアベンジャーを一気に詰めてゴリゴリ当ててくるプレイヤー相手だと即死にされる。

ロケットランチャーでも使えるテクニックで、攻防戦ではこのスワップショットと組み合わせるとあまりに凶暴なため、ローカルでロケラン禁止にされることもしばしば。

他にもジャンプやダッシュを禁止としたローカルルール部屋のリア戦では全員使ってくるテクニックだ。

ハーフステップ

空中で複数回ダッシュして高速に左右移動するテクニック。

ジャンプ中に2回ダッシュ入力するだけなので、一見簡単に思うかもしれない。ただ前述のSSと組み合わせると、とてつもない入力難度に化ける。

中級チャンネル辺りでハーフステップの逆入力読みの置きAIMで殺されまくったのは今でもよく覚えている。ハーフ読みでただのSSに留めたり、更に回数を増やして3回ダッシュを決める達人級もいるのが末恐ろしい。

ハーフステップを利用して壁を蹴りまくって上からアベンジャーで特攻するプレイヤーとかかもう意味わからん。

切り落とし

剣を地上で右クリックすると切り上げできるが、切り上げ後に即ジャンプ+剣撃すると敵を落下扱いにして一定時間身動きを封じる技。

切り上げを絡めたリスキーなコンボだからか魅せプレイ向きだか、実力差があると平気でこれを通される。

ショットガン持ちだと切り落とし後にスワップショットで間違いなくキルできる。

マッシブめくり

剣で溜め or ガード成功後に放てるマッシブの判定を正面以外にずらすテクニック。何を言っているか意味が分からない人もいるだろう。

マッシブを放つ瞬間に180度視点を振ると相手の背中にマッシブを当てることが出来る。それをガードするには相手も後方にガードを決めないといけないと意味わからないバグ。

実は180度後ろだけでなく下や上に向かって打つことが出来、瞬時にそれを見極めてガードする読み合いをあっち向いてほいとも形容するらしい。

因みにマッシブめくりは呼称がわからないので一旦私がそう呼んでいるだけに過ぎない。

KSマニア曰く、切り落としとマッシブめくり等を組み合わせるとイモンブと呼ばれるハメ技が出来るらしい。去年飲んだ時に教えてくれた。この令和において全く意味のないナレッジを得た。ありがとう。

Gunz衰退の原因

数多のテクニックや高いゲームスピードを誇る本作が如何様にして衰退したか真面目に考えてみた。

楽しくなるまでに要求される練習量の多さ

ゲームを楽しむ為の1人前のラインが高すぎる問題。前述したKSもそうだが、それなりにAIMを求められる。画面をブンブン振る都合上感度はバカ高い。私の当時の感度を今の基準で述べるなら恐らくeDPI=7000くらいだった。

そこに加えて1vs1の駆け引きや1vs多人数の立ち回り等可視化しづらい部分も忘れてはならない。バカみたいに突っ込んではダメだし、かと言って遠くからチマチマ撃っていては一向に強くなれない。

とかくそれらを身に着けるには膨大な練習時間or健全な成長サイクルを回す必要がある。当時はYoutubeもそこまで盛り上がっていないし、TwitterのようなSNSも無いので情報収集は一苦労だった。

身近に強い・詳しい人がいればこの点はある程度短縮することも可能ではあったが、現代のゲームに比べるとやはりその多さは否めない。

スマーフ・民度の低さ

今でこそスマーフという言葉があるが、当時はそんな概念もなく皆ガンガンサブ垢を作っていた。なので初心者鯖でもゴリゴリに強い人がおり、前述の練習もいびつな形で取り組んでいる場合が多い。

なので初級者が同レベルとたたかう場面があまりない。挫けず格上に挑み続けるメンタルが無いと心はあっという間に折れるだろう。

一番ひどいのはロケランを初鯖で撃ってくる奴だ。というのも、ロケランは10Lv以上で解禁され、10Lv以上は初鯖に入れない仕様となっている。しかし落下による自滅で無理やりレベルを下げ、購入しておいたロケランで初鯖を荒らす者も時たまいた。

それに加えて民度も非常に低く、全体チャットで”ザコ”だの”バカ”だの言いたい放題であった。

ローカルルール部屋でもルールブレイカーが現れてやりたい放題していた。例えば攻防戦の爆発禁止部屋でロケランをぶっ放したり、レベル上げ部屋でゴーストショットと呼ばれるバグ技で荒らしまくる輩なんて毎日いた。

チートが蔓延

これが衰退最大の原因だろう。いつの時代もゲームを壊すのはチートなのだ。

体力無限・ウォールハックはお手の物で、龍チートと呼ばれる剣撃タメを連発しながら空中浮遊するものもあった。さらに浮遊+ロケラン無限で雨をふらして初心者サーバーを荒らしている愚行も散見された。

一応ルーム内投票によるキックやチート検知によるBANはあったが、前者は即抜けされると意味をなさないし、後者は検知が遅い・チート利用できないアプデ等もそこまで行われておらず、あまり快適な環境とは言えないものだ。

GUNZWEI末期はチーターだらけでとても遊べたものではなく、それによって人が減っていくのをまざまざと見せつけられた。

時代が早すぎた

明らかに出る時代が早過ぎた。当時AIMに対する知見も殆どなく弾を当てるのに一苦労だった。

そもそも前述したプレイ環境の面でのハードルが高い。

今でこそオンラインゲームは当たり前になったし、配信者・Youtuberが数多の動画・情報を出しており強くなる為のルートも随分と増えた。

総括

渇望してままならないのはやはり2023年現在でも唯一無二のものであるからだ。(一応エミュ鯖はあるが)

あの速さ・読み合い・テクニックの応酬と刺激的この上ない作品で、この令和に登場したらどうなっていたのだろうかと、在りもしない世界戦を妄想してしまう。

だから何だと言われると、ただあの頃はハッ!と思い返したいだけです。以上。