1996年にタムソフトより発売されたチョロQのレビューについて書いていきます。
概要
玩具でおなじみのチョロQをゲームとしたもので、チョロQシリーズの始祖。またタムソフト製で未だに根強いファンがいるレースゲームのひとつである。
1996年に発売され、ver1.02という廉価版がある。バグの修正やボディの追加等僅かな差はあるが、本稿は両方の対象としていく。
BGMや挙動など今手に取っても評価が高い。
評価点
豊富なカスタムパーツ
チョロQといえばカスタム！が初代で既に存在しており、最大の魅力だろう。強力なパーツを手にいれて、更に良いものを目指すためにレースをする。基本的なサイクルは今も昔も変わらない。そして初代にのみ存在するパーツの特徴がある。なんと…
エンジン毎にそれぞれのエンジン音が設定されているのだ！
エンジンを変えると性能は勿論、音まで個別に用意されているのは車好きにとって非常にうれしい。尚2以降は容量の問題なのか統一化されてしまったので少し寂しい。
程の良くリアルな挙動
チョロQの可愛らしい見た目に反して、案外硬派な挙動である。
ステアを切っていくとある程度リアが粘り、一定のコーナリングフォースを加えるとリアが破綻してドリフト状態となる。また、ステアリングを交換すると旋回性が上がるが、十字キーを長く押してるとスポンとグリップが抜け一気にスピンしやすくなるなどやや専門的な用語を用いればアンダー・オーバーの出方の変化を如実に感じられる。
Rのきついコーナーではドリフト走行を使うと頭の入りの良さを利用してスムーズにコーナーを抜けることができる。またアクセルオフと併用すれば、スピンの危険性を抑えつつドリフト状態のまま高速にコーナーをクリアすることも可能。
ステア以外にも、路面の凹凸を感じることができ4輪が離れた際は舵を切っても曲がることができないなどゲームと言えど案外まじめなものである。
後は加速減速時に前後に車体は傾き、荷重移動でコーナリングを楽しむなどリアルさの片鱗が味わえる。
やりごたえのある難易度
チョロQはやり応えのある難易度で、レースゲーマー諸君にとって結構真剣になれる良い感じ。
しかしこの点は賛否両論なのだ。と言うのもレースゲームやチョロQ自体に慣れている人目線の話で、そもそもそうでない人にとっては結構難しい部類に入るだろう。
パーツでカスタムしていけば速くなり救済措置として十分機能を果たしている様に見えるが、走り方を知らず、壁に激突しまくる人はコースで入賞することさえ難しいだろう。
SFCの時代ではこの程度の難易度の物がゴロゴロしていたが、ゲーム全般で段々とマイルドな難易度に変化していっている時代背景を鑑みると、本作がでた平成初頭はその狭間であったのかもやしれん。
BGMが秀逸
BGMが粒揃いであり、コースの雰囲気づくりに一役買っている。
具体的に上げれば初級は最初のコースにして熱くレースゲームらしいもので、高原ショート・ロングはコミカルで軽快な物で後の作品に一部が流用されるほどである。
上級サーキットも熱い雰囲気となんとも言えない切なさがノスタルジーを強く刺激するものである。
トンネル系もカッコよいし、森と泉とアップダウン峠は情景とよくマッチしているので、聴くだけでコースが脳内ですぐ再生できる程だ。
驚くことに、これらの素晴らしいBGMはCDプレイヤーにチョロQのゲームディスクを入れると、なんとそのまま再生できるのだ。なのでドライブのお供として懐かしさを耳に与えることができる。素晴らしい。
問題点
一部のパーツの値段設定が高い
シリーズ恒例のエンドコンテンツとして登場するとてつもない性能を発揮するものとしてアクマシリーズがあるが、初代にして既に登場している。
タイヤとエンジンが存在するが、値段設定が高すぎて手に入れるにはとてつもない数をレースで勝利しないといけない。
これは後のシリーズでも同じではあるが、チョロQ2以降はカジノが実装されていたので本作程苦労はしない点が挙げられる。
続編と比較するのは無粋であるが、それでも比較してしまいたくなるほど厳しい値段設定である。
説明が不十分で初心者には解りづらい仕様
コース解禁やグランプリの変化など知っている人からすれば何てことないものも説明がほとんどないので、初めてやる人には不親切である。
説明書に記載されているのかもしれないので、一概に説明不足とは言い切れないかもしれないが、もう少しゲーム内で何かしらの説明があってもいいのでは？と私は思う。
これに関してはQ2とQ3に関しても大筋同じであるのでこの無機質な感じはタムソフト製の弱点ともいえる。
一部のコースではフレームレートが不安定
一部といってもあくまでビッグドームというコースの話だが、フレームレートが非常に不安定で、かなり遊びづらい。
そもそもコース自体の難易度も高い事も相まって、あまり良い出来とは言えない。
総括
チョロQシリーズとしては元祖であり、発売も平成初頭で粗が目立つが今遊んでも非常に面白い。ゲームとしてもポップなビジュアルでとっつきやすいが、その実、結構車好きのツボを抑えた玄人好みの一面もある。
Q2以降ではチョロQシティという線として一本大きなものが実装されるわけだが、走りは既に初代で完成しQ3まで一緒なので、本作を遊ぶ機会があれば是非、鍛えたテクニックを駆使してQ3まで遊んでみてほしい。
